ナラティブを変える

先日、こんな研究レポートをリリースした。


コミュニティエネルギーにおける女性 調査報告書(研究報告)

全国ご当地エネルギー協会会員団体へのアンケート調査の結果から、日本国内での地域エネルギー事業とその経営への女性の参加比率は低く、また、リーダー層の中で女性の参加比率が低いという認識はありつつも、積極的に比率を高めようとする意識・行動は希薄な状況にあることが明らかとなった。今後、持続可能でより公正なエネルギー社会を目指す上では、女性の参加比率が低いという現状を認識し、クォータの導入などの取り組みを展開していく必要がある。

キーワード:コミュニティエネルギー, ジェンダー, クォータ


#Me Too や #BML の流れからダイバーシティやインクルージョンをただのかけ声に留めないで、実際の実務レベルに落とし込もうというモーメンタムが国際的にも進んでいて、自然エネルギー分野でも2018年ぐらいから本格的にリサーチや実践がはじまっている。

長年、コミュティパワーを推進してきた世界風力エネルギー協会でもジェンダーをフォーカスアジェンダに取り上げて、国際比較のリサーチをすることになり、例によって日本は私が実施の部分を担当することになり、ドイツと質問項目をそろえつつ、微調整して、アンケートとって、集計して、年度末の報告書シーズンになんとかまとめるところまでたどりついた。

結果は見ての通りで、そもそもジェンダーバランスについて考える機会がなかったのだろうな、という感じ。これまで各地でコミュティパワー立ち上げ支援するときに、あらかじめ指摘しなければ必ずシニア男性だけの集まりになってしまうのは顕著だったので、かなり初期のころから「女性と若者を入れなさい」とけっこう声高にアドバイスしてきて、そこそこバランスよく体制がつくれたところもあったけど、定量的に見るとやっぱりまだまだです。

それはそれとして、今回のデータは国内でもはじめてのものだし、社会的関心も高まっている気配を感じていたのでそこそこ反響あるかなと思っていたら、驚くほど反応がなくて「?」と思っている。

果たして、これは自分が書いたナラティブが左寄りになっているからリーチが狭くなってしまったのか、そもそも日本にこのテーマと情報をキャッチするレセプターがほとんどないからなのか、それ以外の要因なのか。

自分的には、淡々と背景とデータをまとめて考察を入れただけのつもりなのだが、結果的に自分史上もっとも左寄りなテキストになったと感じている。それはテーマ自体がそうさせているのか、うっかり左寄りのテンプレートなナラティブに乗っかってしまったのか、よくわからない。

いずれにしろ、「〜すべき」という規範的なナラティブで動く人は少ないので、もっとベネフィットでシステムを変えていく方向にナラティブも変えていきたいところで、そのあたりはいろいろ試行錯誤するしかないような気がする。

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